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その他

「今日みたいなしとしとと降る雨の夜、私はいつも悲しくなるが、それを慰めてくれるのはこの深い黄金色の液体だ。喉を焦がすこの大人の飲み物は私を、いつも優しく慰め、ささくれだったこの心を溶かしていく。あぁ、今宵もまた溶けていく....」


「十年前に恨みを遺して死んだ友人の呪い、ね。ふん、君はそんな非現実的なことを端から(はなから)信じているのかね?トンネルには白い人影が...とか、あそこの公衆電話は冥界に繋がる...とか、全く根拠のないことを、君はなんの疑問を抱くことなく頭から信じ込んでいるのかね。はぁ、実に君らしい。愚直(ぐちょく)で、人の言うことをなんの疑いもなく信じ、そしてさらに不特定多数の人々に広める。彼らに嘘じゃないかと咎められれば、『これは噂だから....』と責任転嫁をする。ふん、実に君らしく、全く、学(がく)がなく身分の低い人間らしい考え方だ。
………ふぅ。さて、一通り君を罵倒しつくしたところで、事件を解きに行こうか。なに、私にはわかっているのだよ。これはけして呪いなんかじゃない。れっきとした殺人だ」


「なんでい、みんな馬が怖い蜘蛛が怖い蛙(かわず)が怖いって、情けねぇな。俺ァ馬なんざ横っ面を張り倒してやるし、蜘蛛なんざ納豆にいれて食っちまう。蛙に至っては干物にして味噌汁のダシにしてやるんだ」

「おい!おいおいおいおい!俺の寝てる間にこんなものを枕元に置くんじゃねぇよ!うわぁ、こりゃあ氷かきだ、怖い怖い…こっちゃ冷や水だ。頭がキィンとなったところであつあつの柳川鍋。さらに精力がつく鰻にすっぽん。こりゃあ怖くて目が回るぜ(もごもごしつつ)」
「やいやい!てめぇこんなに飲み食いしやがって!ほんとは何が怖い!」
「へぇ、この夏が怖いんで」


こんばんは、マドモワゼル。お待ちしておりました。今宵は何をお探しでしょうか。
"反動の少ない護身銃” でございますか。かしこまりました。では、こちらはいかがでしょう。
『コルト・ディテクティブ』38口径でございます。装弾数は6発、ポケットに収まる大きさで威力も申し分ない。ですからあなた様のご要望にぴったりの品かと。あぁ、もちろん製造番号は削ってございます。それに私どもが扱うのはご存知の通り未使用品、どんなことにお使いいただいても絶対に足がつきません。


あっ、ようやくきてくれたの?私のことをすっかり忘れていたのかと思ってたわ♪でも嬉しい、こうして戻ってきてくれて♪
ねぇねぇ、何飲む?…ウィスキーのロック?もう、相変わらず堅いわね。じゃあ私も。…ふふ、あら?もうご指名がかかっちゃったわ。ごめんなさい、また今度ね。バイバイ♪


確かに私は場末の歌手だけど、だからってあなたには負けない。いつかその鼻をへし折ってやるんだから。


砂漠の真ん中に突然現れる豪奢(ごうしゃ)な街、その街の真ん中にあるのが我がルインスクラブさ。ここじゃあ今日も明日もどうでもいい、とにかく今が楽しければそれでいい連中がごろごろと集まってる。酒、タバコ、違法薬物に銃の密売、違法なレートの賭け事、その他おおっぴらにできないことまで平然と行われてる。
そうそう、俺たちのモットーは”So long as it's fun, what we do.” 今が楽しければそれでいいんだ。

ほら、見てみろ。あっちでスタンプの取引をしてら。一ダース12枚で3$、安いもんだろ?それに、あっちじゃGをひと缶 6$だ。おい、コール。俺にも分けてくれ。…っへっへ、こいつはすぐにキマってあとに残らない。まじで最高だろ?ほら、お前もやってみろ。まじでトブぜ…(けらけら


私なんて、まるでおもちゃみたいなものよ。弄ぶ(あそぶ)だけ弄んで、いらなくなったら捨てる。あなたにとって私はそういう尻の軽い人。
でもそれでもいいわ。私はそうやって生きて来たし、これからもそうやって生きていくの。それに、今更あなたに捨てられたところでなんだというの。


私が殺ったんじゃないわ。だいいち、アリバイがないじゃない。その時間、私は出かけていたのよ?それは執事も認めているわ。なのにどうして、母様を殺れたというの?
そ、それは確かにそうね。家の相続について揉めたこともあったわ。消えてしまえとも思ったわ。だけど、間違っても人生を棒にふるようなことはしないわよ。


ナイチンゲールが天使なら、私たちも天使になるのよ。培った知識や常識をかなぐり捨てて、祖国のために一人でも多くの兵士をあっちに送る。それこそが私たちに課せられた大きな使命なの。

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