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​※このセリフはお客さん(男性)視点になっております。

「よう、やってるかい。そうかい。それじゃあ いつもの、頼むよ。


(間)


お、この小鉢はまた変わってるねぇ。メバルの皮の湯引きかい?んん……美味しいねぇ。皮の程よい歯応えにポン酢と大根おろしが絡んで……んと、なんだいこの酸味は。なに、ゆずの皮もはいっている?ははは、そりゃあいい!ますます酒がすすむというものだよ。
んぐ…んぐ……ぷはぁ……。美味しい肴に美味しい酒。一日の疲れがほぐれるってものだ。それによ、別嬪(べっぴん)の女将さんとくりゃあ尚更だろう?ふは、何を顔真っ赤にして首を振っているんだい? なに、けしておだててなぞいない。全て本当のことだ。それに、ここに来る男どもはみんなして同じことを思っているんじゃないかね。ふふ、ところで可愛い可愛い女将さん。これと同じ酒をくれるかい?いや、今度は雪冷えにしようか。


(間)


さあ今宵の主役はなんだい、女将さん。…………なんだい?おでんかい?この暑い時期に?あぁいや、だめと言う訳では無いが……。ほら、こう暑くちゃあ、あっついものよりも冷てえものが…いや、悪くはねぇんだ、こう暑い時に食べる鍋なんざ最高にいいからよ。チゲなんてきた日にゃ、汗がダランダランでビールを幾ら飲んでも飲み足らないくらいさ。だから、そんな悲しい顔をしないでくれ。な、頼むよ。別嬪さんを泣かせたなんてったらみんなから責められっちまうぜ。な...?(優しく涙をぬぐう)だからほら、泣かないでくれ。女将さんに涙は似合わんぜ。
ふ、そうそう、そうやって笑ってくれ。さ、それじゃあ冷めないうちにいただこうかね。ん....はふはふ.....んんっ....美味しいねえ。大根のこの味が染みていること。関東とは違った、薄口しょうゆと昆布だしで整ったあっさりとした味がまたたまらない。んぐ...っぷは.....うまい、つい飲みすぎてしまうよ....。しかし、そろそろお開きにしなければ、翌日に障るからな。
ん、ごちそうさん。お代はここに置いておくからよ。それじゃあ、おやすみなさい」

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