セリフの溜まり場
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「あら、いらっしゃい。今夜もお仕事ご苦労様でした。はい、まずはビ―ルにお通し。今夜のお通しはたたききゅうりよ。
今日も暑かったでしょう。カラカラに乾いた身体にはこれが一番ね。
そうそう、店先に植えてある朝顔、綺麗な淡い色を咲かせたの。あら、女将の着物姿の方が綺麗ですって?もう、口がお上手なんですから。そうやって何人の女を口説いてきたのでしょうね、憎いわ.....ふふ....
はい、今日の一品。メバルの煮付。今日は新鮮なメバルが手に入ったのよ。それで、刺身と迷ったのだけれど、結局煮付にしてしまったわ。あなたは煮付のほうが好きだものね。
え?もちろん、お酒も冷やで用意しているわ。...ふふ、あなたの喜ぶ姿をみるのが毎晩の楽しみよ。
....え?渡したいものがある?何よそんなに改まって。いつもだらしなく着崩しているスーツを、襟まで直して、一体どうしたのよ。
......あなた本気?私はバツイチで、美形でもモテるわけでもないのよ?....料理をしているあなたに惚れた、ですって?はぁ、馬鹿をいうのも大概に................っ、それって.....指輪....?
ねえ、本当に私でいいの?後々本気で後悔するわよ?私なんかよりももっと美しい女の方がいらっしゃるでしょう?それに、あなたは一流企業の重役、しかもまだ30そこそこなのよ?それなのに......。
.....愛に年齢は無関係だ、それに女将も同じくらいじゃないか、ですって?んん、そういわれたらそうだけれど.......。
....私の気持ち?それは....その...っ......。
(恥ずかしそうにぼそぼそ)....わ、私だって......好き......ですけれど.....でも......。
きゃっ!んんっ........。急に抱きしめないで.....ください......心臓が口から飛び出してしまいます......
(次第に慣れてきて、男に優しく包み込まれる女将).....温かい.....こんなに優しいぬくもり、初めてです.......。
.......あなたの想い、しかと受け止めました。.......私でよければ、そばにいさせてください.......
....ふふ、ありがとうございます......(にんまり)
これから、よろしくお願いしますね。愛しい旦那さま....」